2021_01_16 20_17 Office Lens 19s

ブッダの合理的な考え方に基づいた「反応しない」ことの重要性を説明した2015年7月の書籍です。

人間には7つの欲があると言います。1) 生存欲、2) 睡眠欲、3) 食欲、4) 性欲、5) 怠惰欲、6) 歓楽欲、7) 承認欲、の7つです。このうち、特に7番目の承認欲が曲者で、上昇欲、優越感・プライド、負い目・劣等感、などにつながります。

承認欲にとらわれず、反応せずに正しく理解するためには、心の状態を見て、1) 言葉で確認する(ラベリング)、2) 感覚を意識する、3) 分類する、ことが大事です。分類には、1) 貪欲(求めすぎ)、2) 怒り、3) 妄想、があります。

良し悪しを判断することは猛毒になることもあります。判断や執着は前述の妄想に関係しています。「怒り」は「判断しない」ことで抑えられます。

つい自分を否定してしまう場合は、1) 一歩一歩と外を歩く(感覚)、2) 広い世界を見渡す、3) 「わたしはわたし」と肯定する、ことで回避すると良いです。過去を引きずることもやめて、ここからできることに専念するのが良いです。

困った相手と「どう関わるか」については、1) 相手のことを判断しない、2) 過去は忘れる、3) 相手を新しい人と考える、4) 理解しあうことを目的とする、5) 関わりのゴールを見る、ことです。

マイナスの感情で損しないためには、快を増やし不快を減らすのも重要です。触れて、反応して、感情や欲求や妄想や記憶などの強い反応エネルギーが生まれます。これを結生といい、新たな同様の反応を作り出す、というように悪循環に陥ります。解消するには、1) よく気づいて反応しない、2) 感覚を意識する、3) 反応の源を断つ、ことが必要です。

社会の中では、他人と比較しがちですが、比較は承認欲に始まる妄想です。改善、集中(自分の物事にのみ無心で取り込む=八正道)、納得、により回避します。また、社会の中では競争がどうしても避けられませんが、競争に対しては「どんな心で向き合っているか」が重要で、正しい動機(慈悲喜捨)を持つことが必要です。

正しく競争するには、5つの妨げに注意します。1) 快楽に流される心、2) 怒り、3) やる気の出ない心、4) そわそわと落ち着かない心、5) 疑い(妄想)、です。他人への嫉妬は承認欲からくる執着であり、足元を見る(脚下照顧)ことで防ぎます。「わたしには違う役割があるのだな」と思い、自分自身のたしかな「よりどころ」を持ち、何度でも正しい心に戻る(帰依する)、ことが大事です。

まとめると、正しい生き方とは、1) 反応せずに正しく理解すること(=正見)、2) 三毒などの悪い反応を浄化する(=清浄行)、3) 人々・生命の幸せを願うこと。慈悲喜捨の心で向き合うこと、です。